小説家・平野啓一郎氏「おかしな法律をゴリ押しで作っても、結局、廃止されることになるという前例によって、立法府を正常化すべき」憲法研究者約200人が「国旗損壊罪は違憲」と速やかな廃止を求める声明

政治
この記事は約3分で読めます。

2026年8月4日、全国の憲法研究者約200人(呼びかけ人14人を含む。大学教授らを中心に賛同)が、「国旗の損壊等の処罰に関する法律」(いわゆる国旗損壊罪)の成立に抗議し、同法は憲法上極めて大きな問題を含み違憲であるとして、速やかな廃止を求める声明を発表した。

小説家の平野啓一郎氏は同日、この動きを伝える朝日新聞の記事を引用し、X(旧Twitter)で次のように投稿した。

おかしな法律をゴリ押しで作っても、結局、廃止されることになるという前例によって、立法府を正常化すべき。

京都大学在学中に『日蝕』で芥川賞を受賞した平野氏の投稿が大きな注目を集めている。

国旗損壊罪の内容と経緯

同法は2026年7月17日に参議院本会議で可決・成立し、7月24日に公布、8月13日から施行される。「人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法」で公然と国旗を損壊・除去・汚損した者に、2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金を科す内容だ。判断は行為の外形や周囲の状況などの客観的事情を総合的に勘案すると規定されている。

法案は自民党・日本維新の会・国民民主党・参政党の4党が共同提出。高市早苗首相が長年提唱してきた施策の一つで、「国旗を大切に思う国民感情の保護」を目的としている。外国国章損壊罪(刑法)が存在する一方で日本国旗に同様の規定がなかった点を是正する狙いもあった。

憲法研究者らの声明の主な主張

声明では主に以下の点を挙げ、違憲だと主張している。

  • 憲法21条が保障する表現の自由(特に象徴的表現)を刑罰で規制するもので、政治的抗議としての国旗損壊行為も含まれる。
  • 「不快・嫌悪の情」を理由に規制するため、表現内容規制・見解規制に該当し、合憲性審査は極めて厳格でなければならない。
  • 「国旗を大切に思う国民感情の保護」という目的では、政治的表現を正当に規制する合理性・必要性がない。不快感を理由に規制を許せば表現の自由は成り立たない。
  • 処罰対象の範囲が漠然として不明確で、罪刑法定主義(憲法31条)の観点からも問題がある。
  • 捜査機関による立件は許されず、裁判所により当然に違憲と判断されるべきだ。

呼びかけ人には東京大学の石川健治教授、早稲田大学の長谷部恭男教授らが名を連ね、中央大学の橋本基弘教授らは記者会見で「現政権への抗議を示す有効な表現を封じ込める」「民主主義の原理に傷をつける」などと述べた。

一方で、法律自体に「表現の自由その他の憲法上の権利を不当に侵害しないよう留意しなければならない」との適用上の注意規定も置かれている。

平野氏の反応の位置づけ

平野氏はこれまでも国旗損壊罪関連の報道を複数回引用し、批判的な姿勢を示してきた。今回の投稿は「ゴリ押しで作ったおかしな法律は最終的に廃止される前例を作り、立法府を正常化すべき」との趣旨で、研究者らの声明を支持する形となっている。国旗は国民の多くが尊ぶ象徴であり、保護を求める声がある一方で、表現の自由との緊張関係が指摘されるテーマだ。施行後の運用や、将来的な司法判断・法改正の動向が注目される。

参照情報

タイトルとURLをコピーしました