竹中平蔵氏の「月7万円ベーシックインカムで年金・生活保護は基本不要」論が再燃 吉野敏明氏「コイツはホントに日本人なのか」とXに投稿

経済
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2020年のコロナ禍に竹中平蔵氏(元経済財政担当相、パソナグループ元会長)がテレビで披露した「所得制限付きベーシックインカム(BI)」構想が、再び注目を集めている。国民全員に毎月7万円程度を支給する代わりに、年金や生活保護の多くを不要にできるという主張だ。X上で強い反発が起きている。

発端の一つは、Xユーザーの投稿だった。「竹中平蔵さんが『生活保護と年金を廃止』しそれを『財源』にすべきと言ってます。今まで日本国民が一生懸命働いて払った年金はどうなるんだ?!『高齢者をバカにするな!』って思う人」との内容に、吉野敏明氏(歯科医師、日本誠真会党首、YouTube登録者約58万人)が反応。「コレ、マジで言ってんのか!?コイツはホントに日本人なのか!?」と投稿した。このポストは1万を超えるいいねを集め、議論が広がった。

2020年の放送内容

竹中氏の発言は、2020年9月23日放送のBS-TBS「報道1930」でのものだ。国民全員に毎月7万円を支給したうえで、マイナンバーと銀行口座を紐付けて所得を把握し、一定以上の高所得者には後で返納させる「所得制限付き」の仕組みを示した。司会から「年金や生活保護などは必要なくなるのか」と問われ、「すべてとは言わないが基本的にはそうだ」と答え、「究極のセーフティーネット」と位置づけた。

週刊エコノミストなどのインタビューでも、月5万円案から7万円案へと具体化し、ミルトン・フリードマンの「負の所得税」を基に、生活保護が不要になり年金も要らなくなることで財源を賄えると説明していた。著書でも同様のバーター論が記されている。当時、SNSでは「#竹中平蔵は月7万円で暮らしてみろ」がトレンド入りし、「住宅補助もないし病人が病院にも通えなくなる」「福祉の切り捨てが狙いでは」との批判が噴出した。

竹中氏は後にJ-CASTなどのインタビューで「1人7万円で生活できると言ったことはない。平均で7万円レベルなら財政的に大きな負担にならない」と説明。家族人数による調整や、積み立て分の保障、疾病のある人への別途救済を残す余地もあるとした。ただし「現在のような生活保護の制度はなくなる」との認識は維持している。

損得を測ると浮かぶ構造

近年の分析では、月7万円の定額で年金・生活保護を置き換えると、手取りが大きく減る層が明確になる。厚生年金の平均受給者(月約15万円)やモデル夫婦世帯(月約23万円)は大幅減、生活保護の単身高齢世帯(現金給付約13万円+医療扶助)も現金で月6万円減ったうえ医療の現物給付を失う可能性が高い。一方、年金をほとんど受け取っていない健常者や低年金層は底上げされる。

これは定額給付が「ニーズに応じた額」と「拠出に応じた上乗せ」を平準化するためだ。生活保護・障害給付は困窮度に応じて積み上げられており、厚生年金は現役時代の保険料に対応する。一律化すると、最も手厚い給付を受けている層が相対的に損をする構造になる。また、全国民への月7万円支給には年間100兆円超が必要との試算もあり、年金・生活保護を全廃しても足りず、さらなる財源や社会保障の縮小が前提になりやすい。

国際NGO「ベーシックインカム地球ネットワーク(BIEN)」の定義する本来のBIは、「すべての人に、個人単位で、資力調査や労働要件を課さずに無条件で定期的に給付されるお金」だ。竹中案は所得制限(返納)を伴い、既存制度の廃止・縮小とセットにされている点で、学術的なBIとは異なるとの指摘が当時からあった。同志社大の山森亮教授(BIEN理事)ら専門家も、弱者救済の理念との乖離を指摘している。

吉野氏の投稿の背景

吉野氏の投稿は、年金という「働いて払った分」の権利が軽視されることへの憤りが背景にあると見られる。リプライでは「全財産を没収してから始めろ」といった辛辣な声もあったが、竹中氏の出自を巡る根拠薄弱な主張も一部で飛び交った(竹中氏は和歌山県出身の日本人である)。

JmaxNewsがこれまで取り上げてきた苫米地英人氏らの「半減期通貨」やデジタルBI論とは対照的だ。こちらは銀行の信用創造を国民側に取り戻し、税金や国債を財源とせずに直接給付する仕組みを主張し、既存の年金・生活保護を「廃止して財源にする」という発想を取らない。AI・ロボット時代の必要性を認めつつも、既存の拠出型制度を切り崩す方向とは一線を画す。

残る課題

コロナ禍で格差拡大への処方箋として世界的に注目されたBIだが、日本では金額の妥当性、財源、既存制度との整合性が常に論点になる。月7万円は都市部の家賃だけで消える水準に近く、医療・介護の現物給付をどう扱うかが特に重い。国民が現役時代に支払った保険料に基づく年金を「財源」として扱うことへの抵抗は根強く、吉野氏の投稿が大きな反響を呼んだ背景には、そうした不信感がある。

竹中氏の構想は「究極のセーフティーネット」と「自助」を強調するが、結果として最も脆弱な層や拠出してきた層の給付が相対的に削られる設計になりやすい。制度設計の詳細が示されないまま「基本的に不要になる」と語られる限り、再燃するたびに同じ批判が繰り返される可能性が高い。国民の生活実態と、これまで積み上げてきた社会保障の約束をどう扱うのか、具体的な数字とシミュレーションに基づく議論が不可欠だ。

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