概要
外国人起業活動促進事業(スタートアップビザ)は、外国人起業家が日本で事業を始める準備を支援するため、2018年に導入された制度だ。従来の「経営・管理」ビザが求める500万円以上の資本金や事業所確保などの厳しい要件を緩和し、自治体発行の「起業準備活動確認証明書」を基に、最長2年の「特定活動」在留資格を付与する。2025年1月の改正で在留期間が延長され、出資要件が自治体の判断で緩和可能となった。しかし、融資額の基準曖昧さや進捗管理の不徹底が、制度の形骸化や「ザル運用」のリスクを高めている。
制度の仕組みと融資
スタートアップビザは直接融資を提供しないが、自治体や支援団体を通じて補助金や民間金融機関との連携による資金支援が行われる。福岡市では「スタートアップカフェ」が賃料補助や専門家相談を提供するが、融資額や出資基準は自治体ごとに異なり、統一ガイドラインがない。

課題と形骸化リスク
・融資基準の曖昧さ
出資要件の緩和基準が不明確で、事業計画の審査が不十分だと、制度を悪用した在留延長目的の申請が通過する恐れがある。
・進捗管理の甘さ
自治体の進捗確認(例:福岡市の月1回面談)が形式化し、ペナルティが不明確。進捗不足でも在留が継続されるケースが懸念される。
・地域間格差
英語対応や地域事業者との連携が不足し、外国人起業家が参入しづらい自治体が多い。支援の質が東京や福岡に偏る。
外免切替との類似性
外国人運転免許証切替(外免切替)では、書類審査の甘さや偽造見逃しが不正を招いた。スタートアップビザも、事業計画の精査不足や自治体の確認バラつきが同様の「ザル運用」を引き起こすリスクがある。Xでは「制度悪用で高額療養費搾取」といった不信感も見られ、外免切替の失敗が繰り返される懸念がある。
提言
・融資、出資基準を全国統一し、専門家による事業計画の厳格な審査を導入。
・進捗管理を強化し、未達成の場合の在留資格取り消しを明確化。
・多言語情報提供と地域事業者の制度理解を促進。
・外免切替の教訓を活かし、書類真正性確認や出入国在留管理庁との連携を強化。
参照情報


人気記事