2026年2月、極寒の中で行われた衆議院議員総選挙は、高市早苗総裁率いる自民党の圧倒的な勝利という幕切れを迎えました。憲法9条への自衛隊明記を旗印に掲げた政権が大勝したことで、日本はついに「戦後体制からの脱却」へと舵を切ったかのように見えます。

しかし、この表面上の熱狂を本当に受け入れていいものでしょうか。若者の間では、改憲というスローガンとは真逆の戦略的な護憲意識が浸透していると思われるからです。選挙結果だけで判断すると、国民は強硬な国防路線を支持しているかのように見えます。ところがその一方で、憲法を「盾」にして自らの負担を拒絶しているかのような驚愕のパラドックス(逆説)が存在していました。
政権がこのまま強引に改憲へ突き進むならば、近いうちに巨大な揺り戻しが起き、真の保守勢力が一気に表舞台をさらう日が見えてきます。この新しい勢力は「護憲派保守」と呼んでもいいでしょう。詳しく説明していきます。
Z世代が突きつけた「国防のアウトソーシング論」
今回の選挙結果を振り返る上で、避けて通れないデータがありました。2025年に防衛省公認メディア『MAMOR-WEB』が発表したアンケート調査結果です。これによると、Z世代の実に71.8%が、日本が侵略された際にも「戦わない」と回答しました。

Q:もし日本が侵略されたら戦いますか?
A:戦う:28.2% / 戦わない:71.8%
Q:「戦わない」を選んだ方にお聞きします。日本が侵略された場合、どのような態度を取りますか?
A:国内で避難を試みる:38% / 日本国外に避難する:22% / 侵略者を支持する:2% / 何もしない:38%
Q:なぜ、戦わないのですか?
A:「逃げます。アメリカなら安全かも」(男性・30代)
A:「何もしない。自分が戦わなくても自衛隊やアメリカ軍が何とかしてくれる」(男性・20代)
A:「逃げます。安全な場所を探して逃げ続ける」(女性・20代)
A:「服従する。嵐が過ぎ去るのを待ちます」(男性・20代)
このアンケート結果は、若者の「平和主義への傾倒」を意味するものではありません。彼らにとっての国防観は、極めて冷静な「国防のアウトソーシング契約」なのです。
• 専門家へのアウトソーシング(分業意識) 「高い税金を払っているのだから、国防はプロ(自衛隊)が完遂すべきサービスである」という顧客視点。素人が戦場へ行くことの非効率性を、コスト面からロジカルに判断して拒絶しています。
• 機会損失の回避 憲法改正に伴う社会の不安定化や、国防義務によって自分のキャリアや私的な時間が奪われることを、人生最大の「タイパ(時間対効果)の悪化」と見なしています。
• 「憲法9条」の戦略的利用 憲法を変えないことで「憲法上の制約がある」という最強の断り文句を維持し、国際紛争への深入りや人的コストの負担を自動的に回避しようとする知恵が見て取れます。

彼らにとっての護憲は、従来のリベラル的な価値基準とも言える高潔な理想論に閉じた話ではなく、自分たちの生活価値を最大化するための「究極の実利」に他なりません。
日本を分かつ「3つの憲法観」のパワーバランス
現在の日本では、改憲を巡る「3つの憲法観」が存在していると考えます。高市政権を支えるコア層を「改憲派保守」とするならば、先ほどのZ世代の若者や一般的に戦争を好まない女性層が「護憲派保守」と言えます。この構造は、今後の政局を占う最大の鍵となります。憲法改正議論がますます激しい争点となってくる可能性があるからです。

注目すべきは、高市政権が突きつける「覚悟(犠牲)」に対し、多くの国民が「守りのリアリズム」としての護憲を選択し始める可能性があるという点です。
「緊急事態条項」と「グローバル利権」のリスク
改憲への警戒心は、国防の問題に留まりません。特に女性層の間では、憲法という「箱」を開けることが、外部勢力の介入を招くことへの不安として渦巻いていると思われます。健康や食に対する懸念は女性から声が上がりやすいものです。
• 緊急事態条項とWHOパンデミック条約の連動 国内の緊急事態対応が国際的な枠組みに組み込まれ、日本の主権や個人の自由が制限されることへの強い拒絶反応。
• グローバル利権 改憲プロセスで生じる隙を突かれ、種子法のような「食の安全」、さらには「教育環境」までもがグローバル利権によって書き換えられるリスク。
「憲法を変える作業は、必然的に他国や国際組織の介入を招く政治的空白を作る」

改憲を急ぐあまりに日本の防備を自ら解いてしまう矛盾を、女性たちは直感的に察知しています。憲法改正が、結果としてグローバル資本に門戸を開く「招待状」になりかねないという危惧です。
台頭する「賢い保守」──理想よりも「日本の守り」を優先する勢力
高市政権の強硬的な「理想主義」が現実の壁にぶつかったとき、次にくるのは左派リベラルではありません。それは、地に足のついた現実主義を標榜する「護憲派保守」です。
彼らが目指すのは、憲法という強固な防備をあえて維持したまま、その枠内で「食糧安保」や「エネルギー自律」などを完遂するという「守りのリアリズム」です。憲法を「変える対象」ではなく、外圧から家庭や子供、そして自分たちの限られた生活を守り抜くための「最強のツール」として捉え直す勢力です。

2026年の政治の真の主役は、まだ表舞台に出ていない、この「静かな多数派」です。彼らは現在、高市政権のカーテンの裏側に隠れていますが、理想が実生活を脅かし始めた瞬間、一気に日本の中心へと躍り出てくるでしょう。
私たちは「理想」を追うか、「実利」を守るか
2026年衆院選での高市自民党の圧勝は、決して終わりの合図ではありません。それは、日本人が「真の保守とは何か」という問いを突きつけられた、長い闘いの始まりです。
改憲という追い求めた結果、外圧やグローバル利権に付け入る隙を与え、国民に犠牲を強いるのか。あるいは、現行憲法という「ツール」を最大限に活用し、国民の実利と生活を守り抜く「賢い保守」の道を選ぶのか。

あなたにとっての憲法は、国威発揚のための「理想」ですか? それとも、大切な生活と家族を守るための「最強のツール」ですか? 2026年、私たちはその本質的な選択を迫られています。

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