公明党、連立政権離脱を表明、高市早苗総裁に「白紙」通告、政治改革巡る亀裂で26年ぶりの決裂

政治
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2025年10月10日、日本政界に衝撃が走った。自民党の高市早苗新総裁(63)と公明党の斉藤鉄夫代表(68)は10日、国会内で会談を実施したが、政治資金改革をめぐる見解の相違が解消できず、公明党は長年続いてきた自民党との連立政権からの離脱を正式に表明した。

斉藤代表は会談後、記者団に対し「自公の連立関係は、いったん白紙」と述べ、平成11年(1999年)以来の政権協力に幕を下ろす方針を明言した。

これにより、高市政権の基盤は一気に揺らぎ、首相指名選挙の行方も不透明さを増している。

離脱の経緯:政治とカネの改革が火種に

公明党の離脱表明は、突発的なものではない。背景には、自民党の政治資金スキャンダルに対する国民の不満と、公明党の支持母体である創価学会の強い懸念があった。

公明党は連立継続の条件として、①企業・団体献金の規制強化、②靖国神社参拝を含む歴史認識、③外国人との共生政策――の3点を高市総裁に提示していた。高市総裁は4日の初会談でこれらを受け止め、7日に再協議を行ったが、「党内に持ち帰って協議し、手続きにのっとって速やかに対応したい」と回答を保留した形となった。

公明党側はこれを「不十分」と判断。特に「政治とカネ」の問題では、企業献金を受ける政治団体の絞り込みを強く求めていたが、高市氏の曖昧な姿勢が不信を増幅させた。斉藤代表は会談直後の会見で、「支持者に大きな不安や懸念がある。それらの解消なくして連立政権はない」と強調。

公明党内や創価学会では、高市総裁の保守色が強い政策スタンス――特に外国人排斥的な発言や靖国参拝の可能性――に対する不満が蓄積しており、離脱の機運が高まっていた。公明関係者は「高市氏の対応は連立パートナーを平手打ちするようなものだった」と漏らした。

高市総裁は会談後、記者団に「一方的に離脱を伝えられた」と不満を吐露。「自公連立は基本中の基本」と強調し、早期の合意文書作成に努めるとの姿勢を示したが、挽回の余地は狭まっている。NHKの番組出演では、「独裁であってはならない。党内の手続きを尊重する」と語り、党内調整の難しさをにじませた。

政局への影響:少数与党化で野党の攻勢か

自民・公明の連立離脱により、与党は衆院で過半数を割り込む「少数与党」となることが決定的となった。自民党単独の議席数は196、公明党は離脱で24議席を失う計算だ。

一方、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の野党3党は合計210議席を有し、首相指名選挙の決選投票では野党統一候補が有利になる可能性すら浮上している。

高市総裁は離脱通告を受け、国民民主党との極秘協議を急ぐ方針を固めた。国民民主党の玉木雄一郎代表は「政策次第で協力は検討する」と前向きな姿勢を示すが、維新や立民の反発も予想される。

国会は「ますます決められない」状況に陥り、補正予算案や経済対策の審議が停滞する恐れがある。霞が関の官僚筋からは「異例の事態で、政権運営は極めて厳しい」との声が上がっている。

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公明党の決断:支持層の声と歴史的転換点

公明党の強硬姿勢は、創価学会の意向を強く反映したものだ。学会員の間では、自民党の「政治とカネ」問題に対する不信が頂点に達しており、選挙協力の見返りとして期待した政策実現が遅れているとの焦りも背景にある。

時事通信の分析では、「自民党の保守志向と公明の中道リベラルが長年齟齬を抱えてきたが、高市総裁の登場がそれを爆発させた」と指摘されている。

斉藤代表は「生命尊重、人間主義、平和主義」を党是とする創価学会の価値観を強調し、離脱を「歴史的な日」と位置づけた。公明党は閣外協力すら否定し、選挙協力の解消も示唆。26年にわたる自公連立の終焉は、日本政治の新たな再編を促すきっかけとなるかもしれない。

高市総裁は今後、党内の保守派をまとめつつ、野党との橋渡しを図るか。政権発足直後の試練は、彼女の指導力を問う最大の山場だ。国会は10日午後の協議でさらなる動きが見込まれ、注視が続く。

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