2026年7月24日、参議院本会議で「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案」(副首都法)が可決・成立した。投票総数244のうち賛成123票、反対121票、わずか2票差だった。自民党と日本維新の会が議員立法として提出し、チームみらいや一部無所属議員が賛成に回った一方、立憲民主党や国民民主党など主要野党は反対した。第221特別国会は事実上閉幕し、25日に正式閉会する見通しだ。
法案の中身と目的
大規模災害や緊急時に東京圏の首都中枢機能(行政・政治・経済など)を代替する「副首都」の整備を推進する法律で、同時に東京一極集中を是正し、多極分散型の経済圏の形成を目指す。
政府は公布後3カ月以内に施行し、1年以内に基本方針を策定する。道府県からの申し出を受け、内閣総理大臣が副首都を指定する仕組みだ。指定要件の詳細は今後政令で定めるが、東京との同時被災リスクの低さ、一定の経済・人口規模、国の行政機関の集積などが考慮される見通しで、指定された地域には規制緩和や税制優遇、民間投資促進などの支援が想定される。
有力候補には大阪府、愛知県、福岡県のほか札幌市も名が挙がる。大阪は府市一体で副首都推進局を設置し、長年ビジョンを策定してきた点で準備が進む。愛知は製造業の集積とリニア中央新幹線、福岡は災害リスクの低さとアジアへの近接性がそれぞれ強みとされる。複数指定や「首都中枢機能代替地域」の指定という選択肢も残されている。
「大阪ありき」批判と維新の狙い
副首都構想は日本維新の会が長年掲げてきた看板政策で、自民・維新の連立政権合意に盛り込まれていた。維新は当初、大都市地域特別区設置法に基づく特別区の設置を副首都指定の必須要件に含めるよう主張していたが、自民党内に「特定地域ありき」の制度設計への懸念が根強く、法案提出前の実務者協議の段階でこの要件化は見送られた。単独で特別区設置の対象となり得る政令市は横浜・大阪・名古屋の3市に限られるため、これを必須要件とすれば事実上「大阪(または特定の大都市)指定」を前提とした制度になりかねないという判断があったとみられる。
もっとも国会審議では、野党から「大阪ありき」「維新の党利党略」「大阪都構想(大阪市廃止・特別区設置)の再挑戦を後押しするものではないか」との批判が相次いだ。大阪府の吉村洋文知事(維新代表)が大阪都構想の是非を問う住民投票を2027年春の統一地方選と同日実施する案を検討していたことも、こうした懸念を強めた一因だ。野党側は同日実施となれば公職選挙法上、政治活動に制約がかかる恐れがあると指摘し、同日実施の禁止を答弁と付帯決議で確約するよう要求。自民・維新が最終的にこれを受け入れたことで、会期の再延長を回避する形で採決にこぎ着けた。
大阪府・市はすでに副首都推進局の人員を現在の約2倍の約120人に拡充するなど準備を先行させているが、世論調査では大阪府民の関心も必ずしも高くなく、「今国会で成立させる必要がある」との回答が「必要ない」を下回ったとの結果もある。
今後の焦点
法成立を受け、各地域の指定争いは本格化する。大阪府・市は秋までに規制緩和などの要望をまとめ、国に提案する方針で、愛知でも知事・市長が早速会見を開くなど動きが加速している。
副首都指定は災害時の国家機能継続性向上と地方創生の両面で意義がある一方、「具体的な中身がまだ曖昧」「ハコモノ行政を招く懸念」といった指摘も残る。政府の基本方針策定と実際の指定プロセスが、今後の焦点となる


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