イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は25日、自身のX(旧Twitter)アカウントで、テルアビブ上空に核のキノコ雲が広がるAI生成画像を添付した投稿を公開した。総選挙(27日投開票)のわずか2日前というタイミングで、イランの核開発を「実在的・具体的な生存の危機」と位置づけ、国内の政治スキャンダルを「煙幕」と一蹴する内容だ。投稿は野党から「恐怖を煽る選挙戦術」と厳しく批判され、過去の発言との矛盾を指摘するコミュニティノートも付いた。
投稿の内容:イランの核がすべてを覆す
ネタニヤフ首相は右派論客のユヴァル・ブルームバーグ氏の文章を紹介する形で、次のように述べた。
「イスラエルは実在的で具体的な生存の危機に直面している。イラン人が核を手に入れれば、何もかもが無意味になる。イランとシーア派軸の生存の危機に比べれば、すべてが瑣末だ」
「日々生み出される演出された、でっち上げの嵐は、最も重要なこと——イランでの仕事を終わらせること——から注意をそらすためのものだ」
「トランプ政権があと2年残っている今が、仕事を完了する最後の時間だ。その後がカマラ・ハリスのような人物なら、どうなるかわからない」
「カタール、超正統派、側近の問題、徴兵、警報……すべては巨大な煙幕だ。もし国土の中央に2発の原子爆弾が落ちたら、誰がこんなくだらない嵐を気にするのか?」
さらに「この歴史的な好機を逃せば、将来の世代は私たちを許さない」「第2のホロコーストの危険に自らと家族を晒すことになる」と警告し、ネタニヤフへの憎悪ではイランの核に対抗できないと訴えた。
添付された画像は、夕暮れのテルアビブ市街地に巨大な核爆発のキノコ雲がそびえ立つ、極めて衝撃的なAI生成映像だ。
選挙戦とこれまでの発言との矛盾
この投稿は、安全保障とトランプ政権との関係を前面に押し出すネタニヤフ首相の選挙戦略の一環と見られている。イスラエルではイランの核・ミサイル脅威が長年の最大課題であり、ネタニヤフ首相はトランプ大統領との連携を強調してきた。
しかし、コミュニティノートや一部メディアは、過去の発言との食い違いを指摘する。ネタニヤフ首相は以前、「イランの核脅威は除去され、勝利は世代にわたって続く」と発言していたとされる。イスラエル・ハヨム紙などは「脅威を排除した」と宣言した直後に再び危機を煽る「核の二枚舌」と報じた。
野党側からは即座に反発が出た。ガディ・アイゼンコット氏らは「また恐怖を煽る投稿だ」「パニック状態だ」と非難。一部では、画像がイラン側に「攻撃準備の兆候」と誤解される可能性を米ホワイトハウスが懸念したとの報道もある。
反応と意味
投稿は閲覧数が250万を超え、返信・引用も多数に上った。支持層からは「国内の些事に目を奪われるな、本質はイランだ」との声が出る一方、批判層からは「選挙のための過度な恐怖政治」「一貫性がない」との指摘が相次いだ。
イスラエルの総選挙は27日に投開票され、ネタニヤフ首相率いる右派連合が安全保障を軸に支持を集められるかが焦点だ。核のキノコ雲という極端な視覚イメージを用いた今回の投稿は、有権者の不安を直接刺激するものとして、選挙結果に影響を与える可能性もある。
イランの核問題はイスラエルにとって長年の実存的課題であり、国際社会も注視している。一方で、選挙直前にこれほど強いイメージを投下したことの政治的効果とリスクについては、投票後に改めて評価されることになる。

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