米上院国土安全保障委員会のランド・ポール上院議員(委員長)は2026年9月28日、ファウチ元所長の日記や内部メールなどを公開した。文書によると、国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)は2015年に米陸軍感染症医学研究所(USAMRIID)が行った、エボラウイルスを霧状(エアロゾル)にしてサルに吸入させる実験に資金を出し、研究デザインにも意見を出していた。ポール議員は、高リスクの研究には連邦資金を出す前の独立した審査が必要だと主張している。なお、感染経路を調べるためにウイルスをエアロゾル化する実験は、科学者の間では機能獲得研究(ウイルスの性質を強める研究)とは見なされていない。ウイルス自体を改変して空気感染しやすくしたものではないからだ。
陸軍研究所で実施、NIAIDが資金と設計に関与
実験は2015年、メリーランド州フォート・デトリックのUSAMRIIDで行われた。エボラウイルスは自然界では空気感染しないが、この実験では微細なエアロゾルにして肺の奥まで届くようにサルに暴露し、ワクチンを接種した群の反応を調べた。公開された文書のうちNIAIDの内部レビューには、NIAIDが資金を提供し、研究デザインにも意見を出したとの記述がある。エボラ出血熱の致死率は平均約50%とWHOは説明している(過去の流行では25〜90%と幅がある)。
接種済みサルで炎症が強く、ファウチ氏は日記で不快感
暴露されたサルはほぼすべて死亡し、ワクチン接種済みのサルは未接種のサルより炎症が強く出た。ファウチ氏は2016年3月の日記に「USAMRIIDの連中は何というバカだ」と記し、この実験は機密扱いにすべきで、そもそもやるべきではなかったという趣旨のことも書いた(いずれも日記の訳)。背景には、国防総省がデータをFDA(米食品医薬品局)や西アフリカ諸国の米大使館などにまで共有し、ワクチンへの信頼が揺らぎかねないとの懸念があった。西アフリカでは、より大規模なエボラワクチン試験が予定されていた。一方でファウチ氏は、その2日後に、この研究は生物防衛の観点では重要だとも書いている。
ポール議員、独立審査機関の設置を要求
ポール議員は、NIAIDが国防総省と危険な研究に資金を出していたと指摘した。「納税者の金がどんな研究に使われているかを、米国民は知る権利がある」とも述べている。議員が推進するRisky Research Review Act(危険な研究審査法案)は、独立機関「生命科学研究安全保障委員会」を新設し、高リスクの生命科学研究に連邦資金を出す前にその承認を義務づける内容だ。委員会は、機密情報を含む記録の提出を各省庁に求める権限も持つ。法案は民主党のピーターズ議員も支持しており、2025年7月に上院国土安全保障委員会で11対2で可決された。ポール議員の委員会は、新型コロナの起源や文書破棄の疑いなども調査している。

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