韓国の捜査当局が、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)総裁・韓鶴子被告(83)の自室から現金260億ウォン(約30億3000万円)を押収した。棚に山積みされた札束、スーツケースに詰め込まれた現金。寝室のベッドサイドに隠されていたその金の出所は何か。 あれは韓国の金ではない。日本の家庭から奪った金だ。
毎年150億円前後が韓国へ流れた
日本の教団は、2019〜21年度に毎年150億円前後を韓国へ送金していた。東京高裁の解散命令決定で明らかになった数字だ。この間の日本国内の収入は400億〜500億円で、ほぼ全額が日本人信者からの献金だった。集めた献金の約3分の1が、世界本部のある韓国へ流れた計算になる。
元経理担当者は「献金の9割は日本」と言い切っている。韓国国内の献金だけでは、教会を運営するのがやっとだったという。
老後資金、家、保険。家族が壊れ、二世が人生を潰された金が、総裁のベッドサイドで札束になっていた。
捜査当局が公開した写真では、壁に埋め込まれた隠し金庫や棚に札束がびっしりと積まれ、複数のスーツケースにも結束バンドで束ねられた現金がぎっしりと詰め込まれていた。日本円も含まれている可能性があると報じられている。
韓被告は2017〜25年に計105億ウォン(約12億円)を横領した罪で追起訴されている。現金で受け取った献金を帳簿に計上しなかったり、海外宣教費などと偽って会計処理したりした手法だとされる。押収された30億円のうち、一部がこの横領資金とみられている。
正規送金だけではなかった
正規の海外送金だけではない。100万円以下の封筒で日本円を持たせ、バスの密室で回収していたという証言もある。帳簿に残らない現金が、静かに韓国へ運ばれていた可能性を指摘する声は以前からあった。
30億円は「見つかった分」にすぎない。日本では宗教法人の解散が確定し、資産の清算が進む。しかし韓国の金庫にある現金は、被害者の手元に戻りにくい。国境を越えた金の流れは、回収を極めて困難にする。奪って、送って、隠す。それが長年続いてきた実態だ。
票を借りた政治家は見て見ぬふりをするな
韓被告は尹錫悦前政権側に金品を贈ったとして、政治資金法違反などで懲役2年の実刑判決(1審)を受けている。教団は2019〜25年に国会議員を含む政治家132人に計約2200万円を違法に寄付していたことも明らかになった。
日本でも教団との関係を利用した政治家は少なくない。票を借り、組織を使い、都合が悪くなると距離を置く。金の出所を見て見ぬふりをしてきた責任は、重い。被害者は今も残っている。家庭を壊され、人生を歪められた人たちが大勢いる。30億円の札束は、単なる捜査結果ではない。日本社会が長年見て見ぬふりをしてきた構造の、一つの象徴だ。


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