2026年9月29日、ホワイトハウスでドナルド・トランプ大統領と主要テクノロジー企業トップらが会合を開いた。その場でイーロン・マスク氏は、いわゆる人工知能(AI)ではなく「スーパーインテリジェンス(超知能、SI)」が人類全体を底上げする点を強調した。ジャーナリストのニック・ソーター氏がXに投稿した動画は、マスク氏がトランプ大統領と肩を並べて語る様子を伝え、大きな反響を呼んだ。
会合ではトランプ大統領が政府文書で「人工知能/AI」の代わりに「スーパーインテリジェンス/SI」を使うよう大統領令に署名し、主要企業トップらが自主的な安全合意「White House Accord on Super Intelligence」に署名した。マスク氏の発言はその直後の記者対応で行われた。
「豊穣の時代」とユニバーサル・ハイ・インカム
マスク氏は、最も可能性の高い未来として「豊穣の時代(Age of Abundance)」を挙げた。単なるユニバーサル・ベーシック・インカムではなく、「ユニバーサル・ハイ・インカム」が実現し、人々はより高い所得と充実した医療を得られると述べた。
「ロボットとスーパーインテリジェンスがあれば、世界中のすべての人が、ここにいる誰よりも、私自身よりも優れた医療を受けられる。素晴らしいことではないか」と語った。仕事は変化するが、それは過去にも繰り返されてきたことだとし、「コンピュータが人間の計算係の仕事を奪ったように、役割は進化する」と指摘した。失業が増えているわけではなく、むしろ人材需要は大きいとも付け加えた。
マスク氏は「未来を覗けるなら、望む未来だ」と締めくくり、技術が貧困を強いるのではなく、人類を引き上げると主張した。
「AI」から「SI」へ
この発言の前後で、マスク氏は一度「AIのプラス面を強調すべきだ」と口にした後、すぐに「SI、pardon me(失礼)」と訂正した。トランプ大統領は笑いながら「サンキュー」と答え、マスク氏の腕を軽く叩いたという。この短いやり取りは動画とともに拡散された。
背景には、トランプ大統領が同日、連邦政府の公式文書などで「Artificial Intelligence/AI」を使わず「Super Intelligence/SI」と呼ぶよう指示した大統領令がある。トランプ氏は国連演説などでも「artificial(人工の)という言葉は偽物のように聞こえる。実際は驚くべきものだ」と説明し、改称を進めていた。マスク氏の言い直しは、その方針に即座に合わせた瞬間だった。
会合にはマスク氏(xAI)のほか、NVIDIAのジェンスン・フアン氏、Metaのマーク・ザッカーバーグ氏、Googleのスンダー・ピチャイ氏、Anthropicのダリオ・アモデイ氏、OpenAIのグレッグ・ブロックマン氏らが参加した。
雇用は消えるのではなく「進化する」
マスク氏は、技術による仕事の変化を過度に悲観しないよう求めた。かつては銀行金利の計算などを人間が大量に行っていたが、デジタルコンピュータがその役割を担うようになった。「誰も一日中計算に戻りたいとは思わない」と述べ、今後の役割も同様に進化すると予測した。
トランプ大統領も会合で、技術が産業革命を超える規模になり得るとしつつ、米国が主導権を維持すると強調した。マスク氏の発言は、脅威論ではなく「全員が恩恵を受ける」という楽観的な未来像を前面に出したものとなった。
ホワイトハウスでの一連の動きは、名称変更、自主規制の合意、そしてマスク氏によるポジティブな未来予測が重なった一日だった。超知能が実際に「全員の医療を今のマスク氏以上にする」のか、雇用の進化がスムーズに進むのかは、今後の技術進展と政策次第となる。

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