国益という重大なテーマを前にしたとき、政治家には党利党略を超えた誠実さと、時には自らを省みる自己批判の精神が求められます。原口一博議員がこの委員会で見せた態度は、まさにその実践でした。
原口氏は、自らが所属する立憲民主党の基本方針に言及しつつ、国益を最優先する姿勢を鮮明にされました。まず、原口議員は立憲民主党の台湾問題に対する基本方針が「曖昧戦略」であると明言されました。
「曖昧戦略、アメリカが定義している曖昧戦略です。“一つの中国を認めつつ、無謀なことは許せませんね”ということです。その中身については言わない、と。これがわが党の基本なんです」その上で、同党の岡田克也議員の質問が、茂木外務大臣から「曖昧戦略を変えるようなことをしていた」と批判的に受け止められたことに対し、真摯に向き合う姿勢を見せられました。 「だから今、茂木大臣がご批判になったことは私たちも真摯に受け取らなきゃいけないと考えています」
この発言は、単に政府を追及する野党議員の姿ではありません。国益の根幹に関わる外交の基本戦略を守るためであれば、たとえ他党の大臣からの批判であっても真摯に受け止め、自党の行動を省みるべきだという、原口議員の政治家としての誠実さの表れです。
この発言に立憲民主党内からと思われるヤジが飛んだ瞬間、原口議員の態度は一変しました。ヤジの方向を鋭くにらみつけ、「いやいやってどういうことだよ」と一喝されました。原口氏の怒りは、国益をかけた真剣な議論の場を乱す内向きの論理に向けられたものでした。
そしてその怒りは、中国の圧力問題と一体となり、一つの巨大な奔流となってほとばしりました。「これね、国益をかけているわけですよ。おかしいでしょ。侵略の意図もなく武力攻撃の意図もないのになんで旧敵国条項を出すんですか。明らかなやりすぎでしょ。で、ここで後ろに引いて何かいいことあるかって無いんです」
外圧への怒りと、内部の緩みへの苛立ちが同時に爆発したこの瞬間こそ、彼が国益をいかに真剣に捉えているかを物語る、この日の質疑のクライマックスでした。
論理と情熱で国益を貫く政治家の姿今回の外交委員会で原口一博議員が見せた姿は、現代の政治家に求められる資質とは何かを改めて私たちに問いかけました。原口氏の言動は、二つの重要な側面を併せ持っていました。
一つは、レアアースの例に代表される、地政学的・経済的現実を踏まえた論理的な戦略分析能力です。もう一つは、不当な圧力や真剣な議論を妨げる行為に敢然と立ち向かう、国益を毀損する行為への断固たる怒りと情熱です。
論理なき情熱は無謀なナショナリズムに陥り、情熱なき論理は冷淡な迎合主義を招きかねません。原口議員の姿は、この二つが分かち難く結びついたとき、いかに強力な政治的メッセージとなり得るかを示しています。
原口氏の行動は、「政府批判」という野党議員のステレオタイプなイメージを覆し、日本の立場と国益を真摯に追求する政治家としての姿を強く印象づけました。外交が複雑性と不確実性を増す現代において、冷静な論理と、国を思う熱い情熱を兼ね備えた政治家の存在は不可欠です。
原口一博議員が見せた論理と情熱の融合は、今後の日本外交が単なる「対応」から脱し、国益を「創造」するための不可欠な羅針盤となるでしょう。


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