日本は中国からの移民の増加で香港のようになるのか?香港は超格差社会、人口750万人の約1/5が貧困。「ケージハウス(檻の家)」は1人1.39平方メートル、「コフィンハウス(棺桶の家)」は両腕が広げられない狭小空間。

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香港は世界有数の金融都市として知られ、高層ビルや豪華なショッピングモールが立ち並ぶ一方で、深刻な貧富の格差が潜む都市です。人口750万人のうち約1/5が貧困状態にあります。この超格差社会の現実から、日本が中国からの移民増加によって同様の問題に直面する可能性があるか考えてみます。

香港の現実:格差と住環境の危機

香港の経済は、上位10人の富豪が富の半分以上を握る構造で、貧困層の割合は年々増加。世界一物価が高い都市として知られ、平均住宅価格は約1億3800万円、坪単価は1000万円を超えます。多くの市民は「ケージハウス(檻の家)」や「コフィンハウス(棺桶の家)」と呼ばれる劣悪な住環境で暮らさざるを得ません。これらの住宅は狭小で、1部屋に複数人が住むこともあり、衛生問題や火災リスクが深刻です。家賃は月1.9~3.8万円と貧困層にとって手頃ですが、非人道的と国際的に批判されています。

この格差の背景には、歴史的要因があります。イギリス植民地時代に先進的な経済システムが導入された香港は、第二次世界大戦後に中国からの富裕層と貧困層が流入。政府の公営住宅政策は供給不足で、土地売却益に依存する政策や外国企業への低税率が不動産価格を押し上げ、一般市民の手が届かない状況を生みました。さらに、近年は中国移民の増加や中国企業の進出により、香港人の雇用機会が減少し、言論の自由の制限から約50万人の若者が海外移住する「頭脳流出」が問題となっています。

日本への警鐘:中国移民の影響

日本は近年、外国人労働者や移民の受け入れを拡大しており、特に中国人移民の増加が目立ちます。2023年の在留外国人統計では、中国人移民は約82万人で全体の27%を占め、留学生や技術者、家族滞在者が増加傾向にあります。政府は労働力不足を補うため、ビザ緩和や特定技能制度を推進していますが、香港の事例は日本にとって重要な教訓を提供します。

香港では、中国移民が公営住宅の入居や雇用で優先され、地元住民の不満が高まっています。日本でも、外国人労働者の増加が賃金低下や住宅競争の激化につながる懸念が浮上。特に東京や大阪など大都市では、不動産価格の上昇が顕著で、若者の住宅取得が困難になりつつあります。香港の「ケージハウス」のような極端な住環境はまだ見られませんが、低賃金労働者の増加や格差拡大が進めば、類似の社会問題が発生するリスクは否定できません。

日本が避けるべき道

香港の超格差社会は、不動産価格の高騰、貧困層への支援不足、外国人優遇の政策が重なった結果です。日本が同様の道を避けるためには、以下の対策が求められます。

  1. 住宅政策の強化:公営住宅の供給拡大や家賃補助制度の充実で、低所得者層の住環境を改善。
  2. 移民政策のバランス:労働力不足を補いつつ、地元住民の雇用機会や賃金を守る仕組み作り。
  3. 格差是正の取り組み:累進課税の強化や社会福祉への投資を増やし、貧富の差の拡大を抑制。
  4. 言論と自由の保護:香港では政治的不信や言論の制限が若者の流出を加速。日本は透明性のある政策と自由な社会環境を維持する必要がある。

未来への問い

香港の現状は、経済成長とグローバル化の裏で格差が拡大し、若者の希望が失われる危険性を示しています。日本が中国からの移民受け入れを進める中、香港のような超格差社会を回避できるのか。適切な政策と社会のバランスがなければ、都市部の住宅危機や若者の海外流出が現実となるかもしれません。香港の教訓を活かし、誰もが住みやすい日本をどう築くか。私たち一人ひとりが考えるべき課題です。

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