小学校で給食費などの学校徴収金に約5400万円の不足が生じ、校長らが私費で約3700万円を補填していた問題をめぐり、元麹町中学校校長の工藤勇一氏がXで「仕組みそのものを変える必要がある」と指摘

社会
この記事は約3分で読めます。

京都府の木津川市教育委員会は2026年11月2日、市立小学校で元事務職員が給食費や教材費などの学校徴収金の督促を怠り、2012年度からの累計で約5400万円の資金不足が生じたと発表した。このうち約3700万円分は、校長(約1700万円)と元事務職員(約2000万円)が市教委に報告せず私費で補填していた。市教委は「不適正な処理で管理監督責任があった」として、校長に残額の支払いを求めている。着服などは確認されておらず、児童への影響もなかったとされている。

この問題を受け、元千代田区立麹町中学校校長で現在は教育関連のアドバイザーなどを務める工藤勇一氏がXで詳細なコメントを投稿した。工藤氏は「いまだに、こんなことが起きているのか」と驚きを表明した上で、自身も目黒区立中学校の副校長時代や麹町中学校の校長時代に同様の問題に苦慮した経験を明かした。

日本の公立学校では長年、給食費や教材費、修学旅行費など本来保護者が負担すべき費用を学校が集金し、業者に支払う仕組みが続いている。未納世帯があると業者への支払いが滞り、教育委員会に相談しても「行政が補填する仕組みはない」と断られるケースがほとんどだという。結果として校長が自腹で立て替え、その後に校長・副校長・事務職員らが未納家庭への督促を続けることになる。

工藤氏は「こうした問題を学校現場だけで解決しようとすること自体に、そもそも無理がある」と指摘。経済的に困窮する家庭への就学援助などの制度はあるものの対応しきれないケースがある一方で、支払い能力があるのに応じない保護者も存在するとした。麹町中学校長時代も区と何度も相談を重ねたが、6年間で仕組みを変えられなかったという。

一方で、すでに改革を進めた自治体もある。東京都町田市は2023年度から教材費などを学校ではなく市が集金・管理する「公会計化」を開始。学校に教材選定の裁量を残したまま公会計化したのは全国初とされる。文部科学省も2025年4月の通知で、教材費や修学旅行費などの学校徴収金の徴収・管理は「基本的に学校以外が担うべき業務」だとして、自治体に公会計化などを進めるよう求めている。

工藤氏は「やればできるのだ」と述べ、日本の義務教育が「本当に無償と言えるのか」という根本的な問いも投げかけた。授業料や教科書は無償だが、副教材、問題集、体操着、運動靴、制服、指定鞄、遠足・修学旅行など保護者負担の費用は多い。学校が必要と判断する教材が増えれば家庭の負担も増す構造になっている。

「必要のないものは買わない。学校で購入したものを繰り返し貸し出す。教材や用品を共有する」といった工夫の余地もあると指摘。今回の問題を校長や事務職員の個人の責任だけで終わらせてはいけないとし、「人の責任を問うだけでは、同じ問題は繰り返される。変えなければならないのは、こうした問題を生み出している仕組みそのものだ」と強調した。

「学校は何のためにあるのか。教員や学校管理職が本来の仕事に集中できるようにするためにも、学校徴収金のあり方、そして保護者負担のあり方を、根本から見直す必要がある」と締めくくっている。

この投稿は短時間で数万のいいねやリポストを集め、教育関係者や保護者から共感の声が寄せられている。給食費の公会計化は一部自治体で進んでいるものの、教材費などを含む学校徴収金全体の抜本的な見直しはまだ道半ばだ。教員の働き方改革や教育の質向上を進める上でも、集金業務を学校から切り離す仕組みの全国展開が急がれる状況といえる。

参照情報

タイトルとURLをコピーしました