小泉進次郎農水大臣が主導する備蓄米放出や輸入米投入による米価抑制策が、「令和の米騒動」を引き起こしている。米価高騰の原因は「減反のし過ぎ」と稲作農家の疲弊だが、流通や農協を悪者にする議論が展開。5kgで2,000円以下の低米価政策は生産者に不安を与え、流通業界を圧迫する。
農協批判の落とし穴
農業協同組合新聞で鈴木宣弘教授が投稿した内容によると、農協批判には落とし穴がある。流通業界と農協組織をコメ価格高騰の犯人に仕立てようとする動きが強まっているのだ。
小泉氏が自民党の農林部会長として過去に取組んだ「農協改革」が頓挫したのに対するリベンジだとも指摘されている。
「農協改革」の本質は「農協解体」で、本丸は、
①農林中金の貯金の100兆円と全共連の共済の55兆円の運用資金を外資に差し出し、
②日本の農産物流通の要の全農をグローバル穀物商社に差し出し、
③独禁法の「違法」適用で農協の農産物の共販と資材の共同購入を潰すことだ。
売国に歯止めをかけねばならない。
輸入米とトランプ圧力
今回のトランプ大統領との自動車関税の引き下げ交渉において、この米と乳製品が生け贄として差し出される可能性がある。備蓄米の効果は限定的であり、次なる施策として輸入米の推進が浮上している。トランプ政権の圧力に応じ、日本は過去の日米貿易協定で牛肉や豚肉の関税を大幅に引き下げ、米や乳製品の輸入枠設定を見送った経緯がある。今回も、7万トンの米輸入枠が交渉の「お土産」として議論されており、食料安全保障の崩壊が危惧される。米中関係悪化の「尻拭い」として大豆やトウモロコシの輸入拡大も提案され、日本の農業はさらに追い詰められる。
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【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】生産者米価2万円との差額補填制度を急ぐべき
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