Meiji Seika ファルマ株式会社(明治製菓ファルマ)は2025年9月26日、新型コロナウイルス感染症に対する次世代mRNAワクチン(レプリコン)「コスタイベ®筋注用(2人用)」を新発売しました。本剤はSARS-CoV-2オミクロン株 XEC系統の変異株に対応したワクチンであり、同社はこれにより感染症の予防に貢献できるとしています。
しかし、この新発売のタイミングは、同社の同名ワクチン「コスタイベ®筋注用」の市販直後調査(2024年9月30日~2025年3月29日実施)において、因果関係が否定できない死亡例を含む重篤な副反応が確認された最終結果報告がなされたわずか4カ月後であり、同社の安全確保への姿勢に批判が集まる可能性があります。
死亡例と予測不能な重篤例が浮き彫りに
製薬企業には、新薬やワクチンの販売開始から6ヵ月間、未知または重篤な副作用(副反応)による被害を最小限に抑えるため、市販直後調査を実施する義務があります。
「コスタイベ®筋注用」の市販直後調査の最終結果(2025年5月27日報告)によると、推定被接種者数16,128人に対し、本剤との因果関係を否定できない副反応は705例 2881件に上りました。
特に重大な結果として、以下の深刻な副反応が確認されています:
- 因果関係が否定できない死亡例:2例。
- 重篤な副反応:8例 11件。
この重篤な副反応11件のうち、9件は電子化された添付文書の「使用上の注意」から予測できない未知の副反応でした。
医師も因果関係を否定できなかった深刻な事例
報告された重篤事例の中には、看過できない深刻なケースが含まれています。
- 吐血による死亡例 101歳女性の事例では、本剤接種18日後に茶褐色の吐血が認められ、その後呼吸停止し死亡が確認されました。報告医師は「剖検をしていないため正確な死因は不明」としながらも、「消化管出血を引き起こす可能性のある薬物投与は行っていないため、本剤との因果関係は否定できないと考える」とコメントしています。
- 高拍出性心不全 96歳女性と90歳女性の2例で「高拍出性心不全」が報告されました。いずれも接種後に発熱や頻脈、SpO2低下を認め、医師は発熱をきっかけとした循環血液量の増加、慢性心不全の増悪と診断し、治療が行われています。
- 脳梗塞 97歳女性の事例では、本剤接種8日後に心原性脳梗塞の疑いで搬送され入院しました。
その他にも、「誤嚥性肺炎」「呼吸不全」「新生児一過性頻呼吸」といった重篤例が報告されています。
安全性の徹底より新発売を優先したのか?
明治製菓ファルマは、これらの市販直後調査の結果を受け、電子化された添付文書の使用上の注意改訂等の新たな安全確保措置を必要とするものはなかったと結論づけました。
しかしながら、原因が否定できない死亡例が確認され、多数の予測不能な重篤例が発生したという生々しいデータが公表された直後に、抗原株を変えたとはいえ、同一の次世代mRNAワクチンを急ピッチで市場に再投入した企業姿勢は、安全よりも事業の継続と市場占有を優先したのではないかという疑念を招きます。
同社は本剤の提供により新型コロナウイルス感染症の予防に貢献できるよう努めると述べていますが、まず優先すべきは、先の調査で明らかになったリスクに対し、より透明性の高い説明責任と、徹底した予防策を講じることではないでしょうか。
因果関係が否定できない死亡例を抱えながらの新発売は、企業倫理と社会的責任の観点から、国民から批判の声が上がっても不思議ではありません。
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