大阪市は、国家戦略特区に指定された地域で認められる特区民泊について、新規の申請受け付けを当面の間、一時的に停止する方針を固めました。これは、宿泊客による騒音やゴミ出しを巡る問題が多発し、周辺住民とのトラブルが増加していることを受けた対応です。昨年度に市へ寄せられた苦情件数は399件に上っています。
特区民泊は、年間営業日数が180日までに限られる通常の民泊とは違い、日数の制約がないのが特徴です。全国の特区民泊の多くが大阪市内に集中しており、大阪・関西万博を見据えて増加している外国人観光客などの宿泊先として機能しています。利用者の中には、ホテルよりも安価でグループでの宿泊が可能なため、特区民泊を選んだという声もあります。
制度的な課題と「駆け込み申請」の増加
これまでは、苦情が寄せられても、法律に具体的な規定がないため、事業者に対する認定取り消しなどの処分が難しい状況が続いていました。
大阪市はこの課題に対応するため、国と協議を行い制度を変更する必要があるとし、事業者や個人からの新たな申請の受け付けを一時停止することを決定しました。
一方で、こうした規制強化の動きを予期し、新規受付が停止される前に許可を得ようとする「駆け込みでの申請」が窓口で増加する事態となっています。新規受付の停止日はまだ決まっていませんが、今年11月に国と協議が行われた後、周知期間が設けられる予定です。
今後の措置と共存への模索
今日の会議で、大阪市の横山市長は、11月より「“迷惑民泊”根絶チーム」を創設すると発表しました。今後、トラブルへの対応を怠るなど問題が確認された民泊施設については、認定を取り消すなどの措置も検討する方針です。また、新規受付を再開する際には、住宅街を対象から除外する可能性も示唆されています。
横山市長は、海外からの訪問客が増えることで消費や歳入が増えるという恩恵がある一方で、住民の不安や心配も大きいと指摘しました。そのため、安心して外国人を受け入れられる状況を目指し、地域住民と共存できる新たな制度の構築が急務であるとの見解を示しています。
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