現金の「自由」は消えるのか?
財布の中の1万円札。それは、誰にも知られずに使える“自由”の象徴だった。
しかし、デジタル円の導入によって、その自由は“記録”に変わる。
中央銀行が発行するこの通貨は、すべての取引を可視化できる。
「誰が、いつ、どこで、何に使ったか」──その情報は、国家の手のひらの上に乗る。
便利さの裏に、見えない視線がある。
監視社会との接点──“善意”から始まる制限
政府はこう言う。「不正を防ぎ、給付金を迅速に届けるため」
確かに、災害時の支援や税務の効率化には有効だ。
だが、用途制限が始まればどうなる?
「ギャンブルには使えない」「酒類購入は月5回まで」
──そんな“善意の制限”が、やがて“思想の制限”に変わる可能性はないのか。
あなたの消費は、あなたの思想を映す。
信用スコアと行動分析──“良い市民”の定義は誰が決める?
中国ではすでに「社会信用スコア」が導入されている。
交通違反、SNS投稿、買い物履歴──それらが“市民の評価”に直結する。
日本が同じ道を辿るとは限らない。だが、技術的には可能だ。
「あなたは、良い市民ですか?」という問いが、通貨の使い方で測られる未来。
それは、民主主義の根幹を揺るがすかもしれない。
自由とは、見られないことではなく、見られても選べること。
デジタル円の未来 | あなたの自由 |
便利・効率的 | 匿名・選択権 |
不正防止 | プライバシー |
経済活性化 | 消費の自由 |
参照情報
中央銀行デジタル通貨に関する実証実験「パイロット実験」の進捗状況(2025年5月)
dig250523b日本銀行決済機構局
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